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演劇界に生きる男の観劇記録

SPAC-静岡県舞台芸術センターで俳優やってます!

倉敷幼稚園→粒江幼稚園→粒江小学校→倉敷南中学校→総社南高等学校→大阪教育大学

関心あるモノ・コト = 演劇/LEGO/昭和歌謡からJ-POP/字を書くこと/フィギュアスケート鑑賞/温浴施設めぐり/乗り鉄/旅行/睡眠

MONO 第53回公演『退屈忍者』@吉祥寺シアター
【2026/2/28 14:00〜16:00(途中休憩なし)】

いわゆる、徳川家綱の治世の「時代劇」ではあるのだが、それをMONO流の会話劇で見せていく。
尾方宣久さんが退団して初めての公演。尾方さんの存在感というのはなかなか絶妙なものがあって、彼を欠くということが、それなりの痛手になるのではないかと危惧していたのだが、上手くかわしたというか、不在が活きる設定になっていたように思う。
全体の芝居運びとか、細かい設定とか、個人的に気になるところは多少あったものの、何より、尾方さんの「不在」を全くと言っていいほど感じさせない作品に仕上がっていたのが、驚きでもあり、さすがでもあり。

「忍者」がさほど必要ではなくなった時代という設定で、頭の忍者である伴正信(奥村泰彦)、正信の姪で同じく忍者の静尼(高橋明日香)、甲斐国から流れてきた忍者の茂助(水沼健)と吉兵衛(金替康博)、元スリで今は忍者のお久(立川茜)。彼らは、普段は村人にカモフラージュしながら、細々と忍者を生業としている。
ここに、村の名主である又五郎(渡辺啓太)と、その妹のお貞(石丸奈菜美)、正信たちを忍びとして雇用している代官(土田英生)が加わる。
しかし、正信とお貞は、許されない恋仲にも関わらず、駆け落ち、心中未遂まで起こすという展開に。
このほか、代官の家臣(実は謀反者)、村の年寄衆などが、セリフ上で頻繁に登場し、物語における登場人物はわりと多い。
やがて、今風に言えば「フェイクニュース」に、皆が翻弄されていき、正信たちは戦うことに…

なお、10年前までは、名が知られた忍びだった正継(正信の弟)が率いていたのだが、正継は病死し(静尼は正継の娘)、正継が亡くなったことにより、彼を慕っていた忍者が大量に離脱したという設定になっている。
この「正継」が、「もしかすると尾方さん!?」とも思え、正継亡き後も忍者を続けている登場人物と、尾方さん退団後も劇団を続けている俳優たちが、妙にオーバーラップしているようでもあり、感慨深い。

また、これまでは割と「空気が読めない、面倒くさいウザキャラ」を担うことが多かった奥村さんが、今回はかなり二の線の役柄を好演しており、これも新たな発見。
その一方で、劇団員たちの持ち味を存分に活かしたキャラ設定と展開も健在で、改めて、土田さんの筆力の底力も感じられた。

尾方さんの不在を乗り越え、新機軸も打ち出しつつ、これまでの良さもそのままに。そういう作品を生み出したMONOの頼もしさたるや!
若手4名も着実に力をつけており、もはや、演技面では古参メンバーとの差がかなり少なくなっている。特に、高橋さんの、作品における屋台骨感は感動的ですらある。

ただ、ラストに向かう展開(「じゃあ戦うことにしますか」みたいな論調とか、「忍者って言っても忍者らしいことしてないし…」みたいな意見が出るとか)が、若干、平田オリザさんの『忠臣蔵』的ではある…(笑)
あと、かつてよく見られた「テンポよく、ドライに応酬される会話」は、最近は新作ごとに影を潜めつつある気がする。わりと普通の新劇風になってきたというか。そのあたりは、古参メンバーと若手とで、差があるところなのかもしれない。(そこを検証する意味でも、『—初恋』とか『きゅうりの花』あたりの再演を観てみたい気はする)

舞台装置は「からくり仕掛けの2階建ての寺の本堂」で、全体の配置やバランス、意匠、規模感などが絶妙で、観ていてワクワク。特に、1階と2階の使い方や使い分けも上手く、舞台装置も脚本を後押しする力となっていた。
(終演後は舞台写真の撮影OK)


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