新しいシェイクスピア劇の創造事業/水戸芸術館プロデュース公演『ロミオとジュリエット』@水戸芸術館ACM劇場
【2025/9/27 18:30〜20:45(途中休憩なし)】

今年の1月に観劇した、『世界のすべては、ひとつの舞台~シェイクスピアの旅芸人』に続く、水戸芸術館による「新しいシェイクスピア劇の創造事業」企画の第二弾。演出も引き続き、大澤遊氏。
新訳ではあるが、従来の翻訳とそこまで明確な違いはなく、もう少し変化球な演出や構成があるかと思いきや、衣裳が現代風の洋装であることを除けば、かなりオーソドックスな作風の『ロミジュリ』でちょっと拍子抜け。
ウクライナやガザを彷彿とさせる演出も、少しは入っているのだが、舞台が現実世界と反転するような所までは行かず。
「『ロミオとジュリエット』でなくてもよかったんじゃ…」というのが正直なところ。この座組なら、違うシェイクスピア作品でもっとしっくり来るのがありそうだが…。
個人的に、『ロミジュリ』は「ディスコミの芝居」だと思っているので、現代人風な見え方になった時に一番違和感があるのが、「電話もメールも無い現代」という設定。
つまり、「現代だと成立しない設定の物語」なので、『ロミジュリ』を現代風なビジュアルにするなら、「使いを出す」とか「手紙で知らせる」みたいな部分は手を加える必要があるのでは?と思ってしまう。
殺陣にしても、ナイフというアナログな武器しか出てこないことに、やはり違和感が少し残る。
松田洋治さんのロレンス神父役は味わい深いものがあり良かったのだが、たとえば乳母役の高畑こと美さんは、上手いのだけどちょっと役柄の割には若く感じられ、むしろキャピュレット夫人とかのほうがしっくりくる。
というように、出演者全体的に、役柄と俳優の年齢や持ち味がちょっとチグハグな印象で、その点でも、彼らがもっと活きるシェイクスピア作品にしたほうが良かったのでは…という気がした。
(俳優たちは、何役か兼ねている人も多く、先に述べたチグハグ感以外については、総じて悪くはない)
また、今回も、「水戸子どもミュージカル」出身の若手が、アンサンブルとして参加して活躍していたが、作品的に、賑やかしが活躍するタイプの戯曲でもないためか、ちょっと見せ場が無さすぎた形になったのがもったいない。
バルコニー、ベッド、墓など、象徴的な舞台美術は、必要に応じて出てくるものの、基本的には素舞台に近い設え。
ラスト、霊廟の場面の前に、舞台が電動で下がって、ビジュアル的にも場面的にも変化を見せたのはとても良かった。(ACM劇場は、シアタートラムみたいに、舞台全体をセパレートで昇降できるようになっている)
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