豊岡演劇祭2025ディレクターズプログラム/城崎国際アートセンターAIRプログラム2025/26
王嘉明/Shakespeare’s Wild Sisters Group ✕ タニノクロウ/庭劇団ペニノ『誠實浴池(せいじつよくじょう)』@城崎国際アートセンター
【2025/09/21 19:00〜20:40(途中休憩なし)】

王嘉明氏(Shakespeare’s Wild Sisters Group)とタニノクロウ氏(庭劇団ペニノ)の作・演出による、日台共同制作の舞台。2024年に台北で初演され、演出の王さんと出演者のFaさんと崔台鎬さんとは2017年度に一緒に仕事をした関係もあって、ぜひとも観たかった作品を、日本初演上演というタイミングで観劇。
浴場は欲情でもあり、銭湯は戦闘でもあり、プレイ(PLAY)はプレイ(PRAY)でもあり、宮城聰作品とはまた違う形での「魂鎮め演劇」でもあり、SMクラブと言いつつも繰り広げられる行為は全くの想定外で、どちらかと言うと教会での懺悔のようでもあり、戦士した男たちは犬になり貝になり、若い女たちは戦場のナイチンゲールのようでもあり…とまあなんとも説明が難しい、いわゆる不条理劇の路線の作品なのだが、パンフレットのタニノさんの言葉を借りると以下の通り。
「海で戦死した兵士たち専用の SMクラブ」という奇妙で不気味な場所を舞台に、亡霊となった男たちが歪んだ欲望のために、その廃墟の銭湯に訪れる…
女優3名が風俗嬢的なポジションで、男優4名がそれぞれに過去を持つ戦死者で、片桐はいりさんはいわゆる置屋の女将的な役どころだが、「この人もかつては風俗嬢の立場だったのかな?」とも思わせる。
川端康成の『眠れる美女』(三島由紀夫による代筆説も囁かれる作品!)に着想を得たとのことだが、おそらく、王さんとタニノさんのいいとこ取り的な作品に仕上がっていたのではないだろうか。
多分おふたりとも、(推測でしかないのだけど)細かい設定の齟齬とか辻褄の合わなさを気にしないw(と思う)。イメージの羅列やコラージュをベースにして作品が練られていったのではないか(と思う)。良い意味で「意味ありげ」な場面の連続で(でもそこに大きな意味は無い)、まさしく夢を見ているような作品が好きなのではないか(と思う)。
すべて推測でしかないが、少なくとも、王さんとお仕事をご一緒した時の、彼の美学の方向性はそんな感じだったように思う。
「3人の若い女たちが勤務のときは髪型も含めてお揃いのビジュアルになる」とか、「貝の派手なビジュアルはあれが正解なのか?」とか、随所の設定に謎が多いのだけど、全体的に「滑稽な悪夢感」に包まれ、妙に説得力がある。
4人の男優たちの犬の形態模写とか、「何を見せられてるんだろう」と思う一方で、その精一杯の犬っぷりが可笑しくもあり、説得力もあり。
「廃墟と化したかつての銭湯」の舞台装置の作り込みがさすがで、それが、これらの説得力を強固にしているのだろう。
そして、その廃墟な銭湯を、城崎温泉で見るというのも実に味わい深い。照明効果も、妖しく美しい。
このあと、富山と東京でも公演あり。怪しげで不条理な世界観が好きな人にはオススメしたい。
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