夏の劇場 世界をみよう!/ゼロコ『フラッグ』@座・高円寺1
【2025/7/19 13:00〜13:45(途中休憩なし)】

今回の『フラッグ』は、確か昨年に初演された作品で、昨年は観られなかったので今回初見。
セリフの無いフィジカルコメディでおなじみのゼロコ…なのだが、この作品は、「明瞭に聞き取れるセリフはないけど、言葉らしきものをわりと発語する場面の多い作品」で、そこが少し好みが分かれるところかも。
というのが、以前のゼロコの作品は、「言葉を発しない面白さ」とか「図書館とか舞台袖など、言葉を発することがためらわれる場所でのシチュエーション」が多く、「声は発するけど言葉は発さない」芸風で、言葉を補うように身体性で見せる側面もあり、そこが良かったと思っている。
しかし今回は、たとえば「登山して『ヤッホー』的な叫びをして、(客席からの)やまびこを聞く」みたいな、「言葉を発しないことが却って不自然なシチュエーション」が多く、しかもその時に「デタラメ語」的な言葉を発していて、観客としては「あー、喋っちゃった」と思ってしまったり、「ならばいっそ、明確に言葉を喋っちゃえばいいのに」と思ってしまったりして、ちょっとモヤる。
おそらくは「日本語が分からなくても楽しめる」ところを目指しているがために、そうしているところもあるのだろう。また、普通にセリフを発してしまうと、演劇要素が格段に強くなり、「俳優」としてのスキルも求められてしまう。そういうのもあって、今回のような構造になっているのだと思われる。
ただ、そうなると中途半端さが残り、「彼らの世界観のクオリティー」は、少し下がってしまったような気もする。
以前に拝見した『Silent Scene』なんかは、哲学的な感覚も加わっていて、僕としては大変好みな作品だっただけに、今回の『フラッグ』は、ちょっと「方向性が違うかな」という印象。コント的な要素も強すぎたのかもしれない。
その分、小さなこどもが楽しめる要素が増えていることも確かで、そういう意味では、主催の意図に合致してはいる。
パーツパーツのネタやアイデアも悪くないと思ったし、ゼロコのおふたりの身体性や感覚は見ていて飽きないので、組み合わせ方とか展開のさせ方とか全体の構造なんかを改良すると、もっと良くなりそうな気はする。
それにしても、角谷さんのチャックの開閉音とか、ボケっぷりとか、濱口さんの驚いた時のリアクションとか、いたずら小僧っぽい微笑とか、妙に印象に残っていて、「ああ、面白かったー」と、その場だけでは終わらない、何らかの余韻を残してくれるパフォーマンスであることは確かだ。
東京公演は終了したが、9月に高知でも上演。
また、秋の静岡での大道芸ワールドカップにも出場されるようなので、未見の方はぜひ!

夏の劇場 世界をみよう!
ゼロコ
『フラッグ』
出演:ゼロコ(角谷将視・濱口啓介)
舞台監督:西山みのり
音響:吉田望(ORANGE COYOTE)
照明:萩原賢一郎、野口りさ
音楽:anata ensemble
小道具:定塚由里香
グッズデザイン:町田早季
アドバイザー:LONTO
スペシャルサンクス:清家未来、長岡岳大
【座・高円寺】
館長:樽川健司
芸術監督:シライケイタ
企画・制作・広報:和泉将朗(チーフ)、篠部洋介、石原直子、居石竜治、高須賀真之、松本菜保、本田千恵子(劇場創造アカデミー)、川島隼人、井上みなみ
施設・票券:小南ひろ子(チーフ)、藤居千美、大澤麻衣、渡邊直子
技術監督:黒尾芳昭
機構:武井隆二、高木啓吾、香坂奈奈、 髙橋淳一、中野聡
照明:黒澤直記、小野寺寿浩、水野梨奈子
音響:島猛、勝見友理、芹澤悠
総務:谷口真弓、鳥飼健太郎
経理:千葉美香、三次佑果
フロント・スタッフ:楢橋操(チーフ)、武井希未
カフェ・アンリファーブル:加茂剛
設備メンテナンス:松苗精一(株式会社アキテム)
後援:杉並区、杉並区教育委員会
企画製作:NPO法人劇場創造ネットワーク、座・高円寺
助成:文化庁文化芸術振興費補助金 劇場・音楽堂等機能強化推進事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会 劇場デビューを誘うプログラム
2025年7月19日〜21日 座・高円寺1
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