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演劇界に生きる男の観劇記録

SPAC-静岡県舞台芸術センターで俳優やってます!

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第67回 静岡県中部高等学校演劇公演(静岡会場/15日のみ)@しずぎんホール・ユーフォニア
【2025/6/15 13:00〜18:00(1校ごとに10分程度の休憩挟む)】

清水南の上演を観劇するにあたり、せっかくなので同日の他校の上演も観劇。15日の静岡会場の5作品について簡単に感想を。

13:00 静岡県立静岡東高等学校
『ロマンティックがキマラナイ!』
作・佐藤柚理子、伴野なつ美
生徒創作の脚本で、やりたい事を詰め込んだ感じの作品なのだが、ちょっと統制が取れてないというか、仕上がりのバランスが「自己満足」の域で留まってしまっているのがもったいない。もう少し、創作の過程で顧問(もしくは大人の視点)が介入すれば良いのに(すでにしてるのかも、だけど)。
冒頭からしばらく劇中劇が演じられるのだが、「演劇部の稽古」であることが明かされるタイミングがちょっと遅すぎるし、唐突な歌パート自体はまだ良いとしても、その歌の内容が聞き取りにくい&歌うことに照れが見える出演者がいるし、プロットに対して書かれている会話の練度が緩いというか書き込みが甘い感じだし、無駄な身振り・手振り・抑揚がとても気になるし、「劇中劇の男役を演じる男子演劇部員役(それを演じているのは女子部員)」みたいにジェンダー設定が複雑すぎるし。
「もっとこうしたら良くなるんじゃない?」みたいなアドバイスが入るだけで随分良くなりそうな印象はあるだけに、全体的に惜しい。

14:00〜静岡市立高等学校
『新・下剋上大作戰』
作・長谷川千夏
スクールカーストを題材に、自分の居場所を見つけていく物語。顧問による当て書きと思われ、それぞれの出演者と演じるキャラクターがハマっているし、物語の筆運びもスムーズ。カースト上位の生徒と下位の生徒の違いが、もう少し明確だとリアリティが増す気がする。(下位の生徒たちが下位にラベリングされている説得力が弱いというか、言うほど地味に見えないというか、上位の生徒たちのキラキラ感が足りないというか…)
教室の壁に見立てたパーテーションが、セッティングや取り扱いが楽そうで、でもチープにならずに空間づくりに貢献していて、良かった。
やたらと正面を向いて会話をするのが気にはなったが、まあご愛嬌の範囲か。

15:00〜静岡県立静岡城北高等学校
『CLOSED』
作・ダニエル藤井/脚色・静岡城北高校演劇部
経営難で閉店し、明日、建物が取り壊される、海が見える喫茶店が舞台。そこにたまたまやって来て、結果的に閉じ込められてしまった人たち(女子高生、ヤクザの若衆、教師と教え子、喫茶店のオーナー)の一夜のドラマ。
なかなか面白い筋書きだったのだが、動物たちが登場する劇中劇のプロットや、その劇中劇と本筋とのリンクの仕方が、個人的にあまりしっくり来ず。
出演者は総じて手堅く上手い演技。なかでも、喫茶店のオーナー役の生徒は、派手さはないが、セリフの語り方が上手く、感情や感覚の乗せ方の匙加減が絶妙。声質も良き。

16:00〜静岡県立清水南高等学校
『天守物語』
作・泉鏡花
「宮城聰演出の『天守物語』の完コピ」ということで、演出はおおよそ宮城聰(直接の演出はしていないけど)。ただ、本家とはまた違う趣きもあるため、「完コピ」というよりは「カバーヴァージョン」というほうが近く、「完コピ」と自称することには少し疑問も残る。
演技の技術面においては、他校より頭ひとつ抜きん出ているのは確かなのだが、清水南に関しては「演劇部」=「演劇専攻」なので、それを踏まえて比較するか否かで、評価が変わるだろう。個人的には、もっと実験的・挑戦的な作品のチョイスでもよかったような気も。
図書之助ムーバーが、前髪で顔が隠れてしまっていたのが残念。

17:00〜静岡県立静岡高等学校
『このままでは終われない 〜空き巣注意報〜』
作・新堀浩司/潤色・静岡高校演劇部
廃部が決まっている上でのラスト舞台。新堀浩司氏の戯曲を劇中劇として使い、いまの自分たちの演劇部の状況をリアルに舞台化した作品。劇中劇部分のクオリティも悪くはなく、『空き巣注意報』だけを最後まで観てみたい気も。
上演の大トリということもあり、静岡高校がこの日の実質的な主役で、「これで終わり」という「1回だけ使うことができる最後の切り札」を最大限に利用した舞台。絵づくり、演技、演出、どれをとっても平均レベル以上であり、弱小演劇部ならともかく(いや、それもどうかとは思うけれど)、彼らがどうして活動を諦めなくてはいけないのか、いろいろと本当に残念でしかない。

ところで、同日に2会場で同時上演だとどちらかしか観られず、他地区同士ならまだしも、2会場とも「中部地区」なわけで、この方針が個人的にはスゴい違和感。
いっそのこと、中部は2つ(コンクール参加派とノンコンクール派)に分けてしまって、もうそれぞれが独立して運営すればいいのに…と思ってしまうのだが、やはりそれは難しいのだろうか。せめて、6月公演くらい仲良く1つの会場で上演したらいいのに…


令和7年度 静岡県高校総合文化祭演劇部門
第67回 静岡県中部高等学校演劇公演


主催:静岡県中部高等学校演劇協議会、静岡県教育委員会、静岡県高等学校文化連盟


2025年6月14日(土)・15日(日) 島田市プラザおおるり
2025年6月14日(土)・15日(日) しずぎんホール・ユーフォニア

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