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演劇界に生きる男の観劇記録

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こつこつプロジェクトStudio公演『夜の道づれ』@新国立劇場 小劇場
【2025/4/15 19:00〜21:00(途中休憩なし)】

三好十郎の戯曲を、柳沼昭徳氏が演出。
戦後の記憶もまだ新しい日本、深夜の甲州街道、初対面の男ふたりがひたすら歩く。途中で現れ、やがて過ぎてゆく人々が時々登場するも、基本的には男ふたりの会話劇。
喋り通しというよりは、沈黙の瞬間もあったりして、本当に「夜中に男ふたりで歩きながらの会話」といった趣き。取り留めのない話題ではあるのだが、「戦後」「日本人」などのキーワードを連想させる内容が、巧妙に小出しに出てくる。

この、「深夜モードの」「戦争の空気がまだ残る時代の」「男ふたりの取り留めのないの会話」という設定に、スッと入っていけるかどうかで、舞台への集中や感想は、かなり変わってくると思われる。珍妙な人たちとのやり取りはあるのだが、すごく劇的な事が起こるわけではなく、印象としては「歩き続ける『ゴドーを待ちながら』(もはや、待つというより向かって行く感じ)」。
上演時間は約2時間なのだが、「あっという間」感はなく、良くも悪くも「長い」印象。ラストに向かっていく感じは、この「長さ」があればこそ活きる感じもするけれど、途中まで(特に前半)は、長さが気になってしまった。長いというより、停滞している感じが続く印象。

演出は、おそらく原作に忠実な感じで、見せ方に対しては、こだわりが感じられるというか、丁寧に稽古を積み重ねたことが垣間見える。
ただ、セリフの扱いは少し気になった。何を言っているのか上手く聞き取れないセリフ(感覚や感情先行型の吐き出し系)が、わりとちらほら見受けられ、「三好十郎的な身体の感覚は意識できているのかもしれないが、セリフを聞かせることへの意識が少し希薄」に感じられた。もう少し、俳優たちもセリフを味わいながら喋ってほしいというか、しっかりと語っていただきたい。
外側への意識が強いぶん、その時の身体性とか身体の感覚といった内側の意識が、うまくアウトプットできていない感じ。「語る前に発散しちゃう」みたいな。(演出も、セリフの言い方に対してのディレクションはそんなに無さそうな感じ)

そして、演出上、「シチュエーションをどう見せるか」への意識が強すぎたのかもしれない。
たとえば、舞台装置として、キャスターのついた可動式の大木が1本出てくるのだが、それの扱い方・処理の仕方は工夫されているものの、そこで終わってしまった感覚も。

そんな中、主役の男のひとり、柳橋役の石橋徹郎さんはセリフも明瞭で「さすが文学座!」である。あと、今回の役どころのせいか、あるいは顔立ちが似てるせいか、「長塚京三」風味も醸し出されていて、それが作品に合っていた。

原作を読むと、もう少しポップな感覚での会話に感じられ、今回の舞台だと、少しシリアス寄りになりすぎていたのかも。「夜の甲州街道」「戦後日本」のイメージに、引きづられすぎていたようにも思う。


こつこつプロジェクトStudio公演
『夜の道づれ』
作 三好十郎
演出 柳沼昭德

御橋次郎 石橋徹郎
熊丸信吉 金子岳憲
洋服の男・警官二 林田航平
警官一・復員服の男・中年の農夫 峰一作
若い女・戦争未亡人 滝沢花野

照明 鈴木武人
音響 信澤祐介
衣装 山野辺雅子
ヘアメイク 高村マドカ
舞台監督 川除学
演出部 満安孝一、雲田恵、深沢亜美
大道具 C-COM(伊藤清次)
小道具 高津装飾美術(西村太志)
衣裳 東京衣裳(本多あゆみ)
舞台・照明・音響操作 新国立劇場技術部、シアターコミュニケーションシステムズ、アート・ステージライティング・グループ 、フリックプロ、吉田信夫(舞台)、井崎佑香(照明)、佐藤杏日花(音響)、栗林督英(大道具)
制作助手 佐藤奈々
制作 伊澤雅子、七字紗衣

プロデューサー 三崎力
芸術監督 小川絵梨子
主催 新国立劇場

2025年4月15日[火]~20日[日]
新国立劇場 小劇場

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