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演劇界に生きる男の観劇記録

SPAC-静岡県舞台芸術センターで俳優やってます!

倉敷幼稚園→粒江幼稚園→粒江小学校→倉敷南中学校→総社南高等学校→大阪教育大学

関心あるモノ・コト = 演劇/LEGO/昭和歌謡からJ-POP/字を書くこと/フィギュアスケート鑑賞/温浴施設めぐり/乗り鉄/旅行/睡眠

MONO第52回公演『デマゴギージャズ』@吉祥寺シアター
【2025/3/6 19:00〜20:50(途中休憩なし)】

明治時代の旧家と、それから150年くらい後の現代(よりも少し未来)。旧家は民俗資料館となっていて、旧家や裏山の所有者は不明状態、というところから物語はスタート。
古い日本家屋を舞台に、2つの時代を交互に見せながら浮かび上がる「言い伝え」「思い込み」「勘違い」「嘘」「真実」「こじつけ」「デマ(ドイツ語でデマゴギーのこと)」。2つの時代の登場人物は、上手くリンクするように設定されているが、その分、こちらが受け取る情報量も多い。

いかにもありそうな「旧家を再利用した民俗資料館」な舞台装置が、間取りも含めて上手く出来ているのだけど、明治時代にしてはちょっと殺風景&綺麗すぎる感じがしなくもない。照明が明るすぎたのかもしれない。

相変わらずの高値安定な劇作と演出と演技なので、満足度は高いし、あちこちに差し挟まれた小ネタも冴えている。
セリフにしか出てこない「裏山の御石様」の存在が物語の鍵を握っているのだが、その真相もさることながら、その周辺の、サイドストーリー的なものが何層にも描かれ、様々な点と点が繋がっていくような面白さ。そして、「それぞれの登場人物の価値観の違いや価値観の変化」が、この作品の核になっている。

明治時代は巫女、現代では民俗資料館職員という、どちらの時代でも渦中の人物ではない立場を演じた立川茜さんが、観客に一番近い存在で、それでいて彼女に与えられたポジションはひねりが効いていて面白い。
現代パートでは畔上夫妻を演じた、渡辺啓太さんと高橋明日香さんの関係性や人物造形も、一見するとそこまで渦中の人では無いのに、「実はこの2人が一番『デマ』という影響を受けている(『デマ』を上手く利用している)」ようにも見えて興味深い。明治時代と現代とで、関係性が反転しているのも、そのネタが読めてしまうけれど、それでも面白い。
石丸奈菜美さんの、現代パートの「感化されやすいジュエリーデザイナー」という設定とその造形も秀逸すぎる。
そのほかの俳優陣も、過不足なく各キャラクターの造形が出来ているし、場に居合わせた時の全体の(キャラクターとしての)バランス感覚も、さすが老舗劇団という趣き。

ただ、劇作に関して欲を言えば、「2つの時代を行ったり来たりしながら重ね合わせていく」ことの調整(伏線回収的なことだったり、2つの時代がリンクしていくようなエンディングなど)はさすがなのだけど、そこで終わってしまった感じも多少あり…前半にもう少し、違う角度からのネタが挟まれても良かったかも。(そうなると当然、前半で省略すべきことが出てくるとは思うので、なんとも言えないのだけど)

そして、やはり俳優陣も歳を重ねたせいか、四半世紀前に観ていた「小気味よくテンポのある感じの、ドライなセリフの応酬」は影を潜め、「説得力がある感じの、想いが込められたセリフ」が増えたような気がする。ここ数年、その傾向はあったのだけど、今回はそう感じる割合が多かったかも。
たとえるなら、歌謡ポップスが時を経てジャズバージョンにアレンジされたような感覚。(それもあっての「ジャズ」というわけではないだろうけど)

しかし、客演とかを迎え入れることもなく、純粋な劇団員だけで、しかも基本的には全員出演で、新作の公演を続けている劇団というのも、ずいぶん珍しくなってしまったような気がする。(今回は、ここ数年は産休だった石丸さんが復帰、という変化はあるが)
そして、「観劇」という目的が第一にはあるのだけど、なんだか僕のなかでは、「盆と正月に親戚一同の顔を見るために帰省する恒例行事」みたいな感覚にもなってきている気がするw

騙されやすい人、信じやすい人なんかにオススメな作品。


MONO第52回公演
『デマゴギージャズ』
作・演出 土田英生

金替康博
水沼健
奥村泰彦
尾方宣久
渡辺啓太
石丸奈菜美
高橋明日香
立川茜
土田英生

舞台美術 柴田隆弘
照明 吉本有輝子
音楽 園田容子
音響 堂岡俊弘
衣装 大野知英
演出助手 neco(劇団三毛猫座)
舞台監督 青野守浩
演出部 習田歩未
照明操作 岩元さやか
宣伝美術 チャーハン・ラモーン
制作 垣脇純子、豊山佳美
協力 キューブ、リコモーション、radio mono
企画・製作 キューカンバー

主催 キューカンバー[大阪・東京・豊橋公演]、公益財団法人新潟市芸術文化振興財団・TeNYテレビ新潟[新潟公演]、公益財団法人岡山文化芸術創造[岡山公演]
共催 公益財団法人豊橋文化振興財団[豊橋公演] 、岡山市[岡山公演]
提携 公益財団法人武藏野文化生涯学習事業団[東京公演]
制作協力 サンライズプロモーション東京[東京公演]
助成 文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))・ 独立行政法人日本芸術文化振興会[大阪・東京・豊橋公演]、大阪市[大阪公演]、文化庁文化芸術振興費補助金 (劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業)[新潟公演]

2025年2月14日〜2月17日 ABCホール
2025年2月22日 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
2025年2月28日〜3月9日 吉祥寺シアター
2025年3月15日・3月16日 穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース
2025年3月20日 岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場

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