はえぎわ25周年 本公演『幸子というんだほんとはね』@本多劇場
【2025/2/27 19:10〜21:05(途中休憩なし)】

2日目に観劇したのだが、初日後に口コミが広がったらしく、当日券が長蛇の列となり、開演10分ほど押してのスタート。
素舞台の本多劇場。人がひとり隠れるくらいの幅の両面白いパネルが10枚くらい出て、そこにイラストレーターの下田昌克さんがライブペインティングで、場面に応じた背景や食べ物やイメージなどを墨一色で描いていく、という舞台美術…というか演出。(普通なら、映像を映し出すことで処理すると思われる)
最初は、それぞれ別々に語られ始めた物語が、まるでシナプスが伸びて繋がっていくように絡みだす構成で、最終的には(たぶん)2組の家族の物語へ。
垣間見えるセリフやテンションは少しアングラ的でもあり、エンタメ感や身体表現の感じはポッブな今風でもあり、若干カオスな感じとか急にみんなで歌い出す感じなどは小劇場的でもあり、(おそらく)劇団が25年間に上演した作品へのオマージュ的な要素もあり、この25年間の日本の現代演劇史のスタイルを小出しに見せていくような側面もあり。ちょっとした「演劇の詰め合わせ」「演劇のコフレ」みたいな舞台。
(ちなみに、オープニングで、出演者たちを相手に本多劇場を案内する導入(案内されてる人たちは、揃って「へえー」とか「ふーん」とかしか言わない)なんて、まんまSPACの『病は気から』だったけど、これもホントははえぎわの鉄板ネタなのか…?)
でも、ダイジェストさは無く、「同時代性」が感じられ、ある意味では極めてオーソドックスなのだが、別の意味では非常に斬新なスタイルにも感じられた。そこに、ノゾエ演出の真骨頂、「ちょっと煙に巻く感じ」「客の好みに応えるくせに、客に媚びない感じ」も。
演劇人以外の観客が観ても「演劇って、よくは分かんないけど、でも、意外と面白いもんなんだな」と思う人が多いだろうし、「シアターゴアーには、こういう舞台を好きな人が多いだろうな」と思わせる印象で、口コミで当日券が増えるのも分かる気がした。「なんか分かんないけど泣ける」みたいなトコロもあるし。
(個人的には「あの場面でホントの子役を出してくるのは反則だよー…(涙)」と思ったw)
劇団メンバー(通称 はえめん)と、客演が半々くらいだが、いい具合にスタイルの違いですみ分けられ、でも、いい具合に両者が馴染んでいて、絶妙。
まずもって、「風船おばさん」の高田聖子さんが大活躍。というか「捨て場面、一切無し」の存在感。あんなに庶民的な雰囲気を持ち合わせてるのに大女優って、なんなのw そりゃあファンも増えるというものさ。
踊り子ありさんと東野良平さんの、コンビネーションとキスの嵐も、わけわかんないんだけど、強い印象を残す。
そして、以前に松本で観た『スカパン』の時は、ほかの俳優の合間に埋没していたようにも見えた串田十二夜さん(串田和美さんのご子息)が、見違えるような俳優っぷり。若さ故の色気、柔軟さ、真摯な感じ…急成長ぶりに驚かされた。ノゾエ氏からのラブコールで出演が決まったそうだが、それも納得だし、十二夜さんがとても活きるように、脚本が書かれ、舞台上で使われていたと思う。
しかし、今回の舞台のMVPは、やはり下田昌克さんのライブペインティングだろう。セリフや場面のタイムに合わせるように、下絵もなく書き表していくさまは必見。
俳優たちの演技に合わせて描いているだけだと思うのだが、下田さんのライブペインティングがメインで、それを活かすように俳優たちがその前でミニパフォーマンスをやっているようにすら見えてくる、そんな舞台でもある。
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