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演劇界に生きる男の観劇記録

SPAC-静岡県舞台芸術センターで俳優やってます!

倉敷幼稚園→粒江幼稚園→粒江小学校→倉敷南中学校→総社南高等学校→大阪教育大学

関心あるモノ・コト = 演劇/LEGO/昭和歌謡からJ-POP/字を書くこと/フィギュアスケート鑑賞/温浴施設めぐり/乗り鉄/旅行/睡眠

サイモン・スティーヴンス ダブルビル『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE』@シアタートラム
【2025/2/26 14:00〜17:15(途中15分間の休憩あり)】

2005年のイギリスでの地下鉄テロを題材に、ひたすらモノローグ、もしくは、2人だけの会話で構成された『ポルノグラフィ』と、2015年のイギリスの大晦日を舞台に、様々な場面がコラージュ風につぎはぎされたような『レイジ』。いわゆる社会派な作品で、観客の高い集中が要求される演出。演出は桐山知也氏。

『ポルノグラフィ』は、事件の日の前後を、7つのモノローグや会話で見せるのだが、小道具などもほぼ無い無対象演技。しかも、1つのモノローグや会話のなかで、場面や時間が結構飛ぶので、言葉にすごく集中して聞いていないと、脳内でのイメージが広がっていかない。観客の想像力に頼るタイプの作品と言える。
地下鉄の入口のような、墓穴のような舞台装置があり、その周囲と観客席通路が主なアクティングエリア。モノローグや会話が終わるごとに、黄色い規制線テープが張られたり、切られたり。
亀田佳明さんが、テロリストと思しき人物の、事件に至るまでの過ごし方や感じていることなどを独白(シーン4)し、その後、テロの犠牲者となった人物像を1人ずつ語っていく(シーン1)のだが、この2つのモノローグの対比と語り口が見せ場のひとつと言えるだろう。そのあとの、竹下景子さんのモノローグ(シーン2)も見どころではあるが。
(『ポルノグラフィ』については、各シーンの上演順は指定されておらず、順番に演じなくて良いらしい)

『レイジ』は、隔てていた大黒幕が取り払われ、螺旋階段をイメージさせる工事現場のような階段が、穴の舞台装置の後ろに現れる。(舞台美術は木津潤平氏)
大晦日の喧騒や乱痴気騒ぎと警官隊。作者のサイモン・スティーヴンスが、2015年の大晦日に撮影された実際の写真1枚1枚に、短編を当て書きするように書かれた場面が、地続き的にコラージュされている。1人が何役も演じているのだが、「演じ分けている」という明確な見せ方ではないし、『ポルノグラフィ』と衣裳が同じなので、10年後の世界ではあるのだが、同じ人物のようにも見えてくる。
こちらの戯曲のほうが言葉が鋭く、暴力的・速球的なセリフが多いため、良くも悪くも突き刺さりやすい。耳にも心にも痛みを覚える、そんな感じ。(翻訳が、『ポルノグラフィ』は小田島創志氏で、『レイジ』は髙田曜子氏)

一度観て、終演後のポストトークを聞いて、そこで初めて戯曲や作品の全容が見えてきて、演出意図も理解できてくる。そんな舞台なので、予備知識ゼロでの観劇だと相当疲れる(と思う)。2回観れば、戯曲や作品の解像度が桁違いに上がると思うのだが、でもまあ、初見で解像度が高くなる仕掛けがあればなお良かった気はする。(「悲劇喜劇」に戯曲は掲載)
そのあたりの難解さを、出演者たちが演技力で補っているところもあって、亀田さんや竹下さんがキュッと締めてくれている印象。岡本玲さん、田中亨さん、saraさん、土井ケイトさんの好演も良かった。特に、田中亨さんとsaraさんは全編通して2人組で登場し、おふたりが構築したであろう行間部分が舞台に活きていた感覚があり、今回の上演に欠かせない存在だったと言える。

加納豊美氏が手がけた衣裳も、布地の切り替えやシルエットデザインがとても良く、それぞれの出演者やキャラクターにとても合っていた。
あと、全員が青系のアイシャドウを入れていたのも、作品の世界観に合っていたし、効いていた。


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