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演劇界に生きる男の観劇記録

SPAC-静岡県舞台芸術センターで俳優やってます!

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江戸糸あやつり人形結城座 第三回スタジオ公演『綱館/釜どろ』@結城座スタジオ
【2025/2/7 14:00〜15:10(途中15分ほどの幕間説明あり)】

元SPACで、いまは結城座で人形遣いとなっている方からご案内いただき、2度目の結城座。今回は小金井市の結城座のスタジオでの上演。「ザ・スズナリの前半分」といった趣きの、キャパ60ほどの稽古場兼スタジオは、小さな演芸場のようでもあり、糸あやつりの人形芝居にピッタリの雰囲気。
(そして、初めて降り立った武蔵小金井駅からスタジオまでの徒歩20分の道のりも、気になるお店が点在していたり、田舎すぎず都会すぎず、また足を運んでみたくなる街!)

演目は、古典落語を人形芝居にした『釜どろ』と、歌舞伎でも上演されそうな題材の『綱館』。

『釜どろ』は、石川五右衛門の手下たちが、親分の敵討ちとばかりに大釜を盗む「釜泥棒」の話。豆腐屋の主人が、釜の中に入ったり、その釜を盗もうと泥棒2人が担いだりと、釜に関係する動きや仕掛けがわりと複雑なのだが、それをあの、糸あやつり人形で、ごく自然に釜を操ってみせるのがなんとも興味深い。(「あやつり人形が、さらに何かを操っている」という、ある種のメタ的な構造が、演劇人として観ていると面白い)

2作品目への舞台転換中は、今年390周年である結城座の成り立ちについてのレクチャー的なトーク。
「質素倹約の天保の改革で、猿若町へ追いやられた」とか、「戦後はGHQの転入制限により区内の中心地に戻れず、戻れる範囲で最も中心地に近い吉祥寺で再興した」とか、興味深い話が多く面白かった。

後半は『綱館』。平安時代の話で、渡辺綱が茨木童子と呼ばれる鬼と対峙する物語。
綱が身じろぎもせず座っている(=操りの糸を微動だに動かさず、手板を持ち続けることになる)のとか、最後に茨木童子が吊りバトン的なもので吊られる(上昇していく)のとか、長袴や大きな袂の捌き方が実に滑らかであったりとか、後見の存在の重要性とか、見どころがいくつもあった。

しかし、実は、最も印象に残ったのは、すぐ後ろに座って並んでいた長唄と三味線の4名。
歌舞伎に比べ、演者との距離が近い(=客席にも近い)ことや、演じられる人形のサイズに比べると(当たり前なのだが)長唄隊のサイズが大きいことが、効果的に感じられた。
長唄隊の手や表情の細かい動きが、手に取るように見え、普段そこまで見えないし見ないので、いろんな発見もあった。
また、人形のほうがサイズが小さいことで、「人形たちを外側から包みこんでいる」感が半端ない。歌舞伎だと、役者も長唄隊も、同じ人間ということもあり対等に見えてしまうのだが、糸あやつり人形だと、長唄隊が「物語の世界を形成している」ように見え、「歌舞伎と糸あやつりでの、芝居と長唄隊、両者の関係の違い」が非常に興味深かった。(そしてまた、杵屋正則さんのお声の、強弱と高低の自在な操り方も良かった)

結城座のために書き下ろされたと言われ、歌舞伎や浄瑠璃でもおなじみの『伽羅先代萩』の上演も年内に予定されているとかで、そちらも気になるところだ。


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