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演劇界に生きる男の観劇記録

SPAC-静岡県舞台芸術センターで俳優やってます!

倉敷幼稚園→粒江幼稚園→粒江小学校→倉敷南中学校→総社南高等学校→大阪教育大学

関心あるモノ・コト = 演劇/LEGO/昭和歌謡からJ-POP/字を書くこと/フィギュアスケート鑑賞/温浴施設めぐり/乗り鉄/旅行/睡眠

令和7年初春歌舞伎公演『彦山権現誓助剣』@新国立劇場 中劇場
【2025/1/20 13:00〜17:10(途中15分間と25分間の休憩あり)】

あらすじがいわゆる仇討物で面白そうだったのと、彦三郎丈が悪役という興味から観に行ったのだけど、想像以上に面白かった。菊之助丈が主役かと思っていたら、確かに主役ではあるのだが、実質の主役はお園役の中村時蔵丈と言ってよかろう。

時蔵丈は、可憐な娘キャラ、剣術に長けたキャラ、虚無僧に扮した男装キャラなど、一つの役柄ではあるもののコミカルからシリアスまで演じ分け、彦三郎丈との殺陣では鎖鎌を手にするなど、かなりの活躍ぶり。彼は、舞台を見るたびごとに、芸が磨かれている気がする。
菊之助丈も、爽やかで実直な好青年を好演していたし、二役の萬太郎丈は、出番は多くないものの、人間味あふれる若党の友平役が印象的だったし、お園の母親役の上村吉弥丈も、演技の幅広さが光っていた。
彦三郎丈の悪役も、イケボをいかんなく駆使した魅力的なキャラを造形。彦三郎丈の遊び心がある感じの役づくりは、勉強になるし、かなり好きw
あと、中村歌昇丈の次男・中村秀之助丈演じる、お園の妹の息子・弥三松(やそまつ)が、キュートで健気で、それゆえに物語に、より深みを与えていた。

通しで上演されたことでエピソードが積み重なっていき、それが後々の場面や役柄に活きて、作品と役柄に深みがあった。
また、二幕冒頭では、昨年度の流行語「裏金」「ホワイト案件」「50/50」「デコピン」などを盛り込んだセリフの掛け合いや、果ては「はいよろこんで」のギリギリダンスを黒御簾の演奏で披露。一連の掛け合いの最後には、「不適切にもほどがある!」で締めるという趣向も見せる。(ギリギリダンスが黒御簾演奏に意外とマッチするという発見w)

舞台美術も、各場ごとに冴えていて、通常の歌舞伎の舞台で、ここまで惹かれたのは始めてかも。
序幕の一つ「長門国吉岡一味斎屋敷の場」は大広間の造り方が良かったし、二幕の「山城国小栗栖瓢箪棚の場」は、立ち回りでの瓢箪棚が崩れる仕掛けが意表を突いて驚きがあった。三幕の「豊前国彦山杉坂墓所の場」は高低差をつけることで、峠の山道の感じがよく出ていたし、「毛谷村六助住家の場」は、物の配置のミザンスが色々と工夫されていたように思う。
そして、最後の場面「豊前国小倉真柴大領久吉本陣の場」では、背景幕に海と水平線が描かれていたのだが、その海の波が、1枚の布に描かれているのにとても奥行きを感じさせる(海が、遥か向こうに続いている感がある)描き方で、それも良かった。

惜しまれるのは、各場の転換が大掛かりゆえに、休憩以外でも定式幕が引かれ、転換に時間がかかっていたこと。歌舞伎座や国立劇場なら、盆を回転させるなどして、もう少しスムーズに見せられたのではないか、という気もする。

少し長丁場な作品ではあるが、特に時蔵丈のファンにはオススメしたい作品。
1階席前方なら、エンディングの手ぬぐい撒きで、手ぬぐいをゲットできるチャンスあり。


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