KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『スプーンフェイス・スタインバーグ(片桐はいり版)』@KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
【2024/2/18 13:30〜14:50(途中休憩なし)】

イギリス人作家リー・ホールの書いた、もとはラジオドラマ用の一人芝居で、死期が迫った自閉症の7歳の少女スタインバーグのモノローグ。ダブルキャスト企画での上演の、まずは片桐はいりさんのほうで観劇。
子ども部屋と思しき舞台。あちらこちらに、家具やおもちゃなどの小道具。これらの配置は、ダブルキャストの両バージョンで共通らしい。(しかし、衣裳や動きは全く異なるらしい)
オペラが大好きなユダヤ人の少女スタインバーグの目に映る、両親や主治医、お手伝いのスパッドさんなどの大人たちの様子や、自身の考える「生と死」「この世の真理」などが語られる。スタインバーグの「これまでに思っていたけど自閉症ゆえに口に出せなかった言葉たち」が語られていると言ってもよいだろう。
また、「主治医の母が、ナチスの強制収容所の生き残り」という設定なので、そこから伝え聞いた話題も出てくる。
要所要所では様々なオペラのアリアが流れ、その歌声が、場面の変化や話題の転換のきっかけにもなっている。
片桐さんは、スタインバーグとして存在してはいるものの、小道具を巧みに使いながら、様々な登場人物たちにスイッチングして演じる時もあり(たとえば、小道具の大きな人形をスタインバーグに見立て、大人側の役として人形に接する、など)、ある種「イタコ的」というか、演じ手としての巧みさを見せてくれる。
戯曲のセリフひとつひとつが浮かび上がるような演じ方というよりは、スタインバーグを取り巻く人間関係などが浮かび上がり、それによって、彼女の世界観、感情や感覚みたいなものが伝わってくる仕上がりだったように思う。
小道具の使い方がとても上手く、また、話題や視点の変化のタイミングと、小道具を手にしたり手放したりのタイミングが、緻密に計算されていたように思う。
少女から老年まで、何を演じてもそう見えてくる説得力はさすがである。そして、何を演じていても、キラキラしている。
それは「生命力に溢れている」とも言え、だからこそ、「この作品のモノローグを語るに相応しい身体である」とも言える。
パンフレットのインタビューで、ダブルキャストのもうひとり、安藤玉恵さんが「このダブルキャストは、ディズニーランドとディズニーシーである」と述べており、また、「私は『この作品は言葉で伝えたい』と思った」とも話していることから、おそらく、安藤さんバージョンのほうが、「言葉=語り口」で伝わってくるものが多いと思われ、それに対して、片桐さんバージョンはやはり、肉体で見せる創り方になっているような気がする。
片桐さんバージョンは、俳優としての存在感が先ずは伝わり、スタインバーグの世界観は感じ取れたものの、彼女が語る内容に対する共感や理解という点では、いまひとつしっくり来ない部分もあったのだが、それは、先に述べたような所から来ているものかもしれない。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
『スプーンフェイス・スタインバーグ』
作:リー・ホール
翻訳:常田景子
演出:小山ゆうな
安藤玉恵/片桐はいり
美術:大島広子
照明:大石真一郎
音響:徳久礼子
映像:石原澄礼
演出助手:坂本沙季
舞台監督:山田貴大
プロダクションマネージャー:小金井伸一
演出部:池野上咲月、小林愛美
照明補佐:大島真
照明操作:稲崎愛歩
音響操作:片野はるひ
大道具製作:C-COM(豊永恭子)
小道具協力:橋本加奈子
衣裳スタイリング:大島広子
衣裳協力:pot and tea
ヘアメイク協力:小林雄美
鑑賞サポート:Palabra株式会社、神奈川芸術文化財団 社会連携ポータル課
広報:植田あす美
営業:大沢清、清水幸
票券:金子久美子
宣伝イラスト:丹野恵理子
宣伝デザイン:柳沼博雅
宣伝写真:渞忠之
宣伝スタイリスト:菊池志真
宣伝ヘアメイク:林摩規子
舞台写真撮影:渞忠之
劇場広報アートディレクション:吉岡秀典
制作進行:横井佑輔
制作:牛山直美、西原栄
チーフプロデューサー:笛木園子、伊藤文一
事業部長:堀内真人
芸術監督:長塚圭史
協力:スターダストプロモーション、MASH、& FICTION!、Smile Stage、本谷麻子
主催・企画制作:KAAT 神奈川芸術劇場
2024年2月16日〜3月3日 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
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