PARCO PRODUCE 2023/PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『桜の園』@日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
【2023/09/13 13:00〜16:00(途中20分の休憩あり)】

昨年の『セールスマンの死』の上演に続いてのショーン・ホームズ演出。今回も、独特の解釈の仕方で古典作品を蘇らせている。
石棺を連想させる巨大な塊と、それを縛っている何本かの太いロープ。舞台奥には金網の柵。
ザ・フォー・シーズンズの「シェリー」の替え歌(歌詞を「チェリー」に変えている)を口ずさみながらやってくる作業着姿の男(永島敬三)が合図をすると、石棺が上昇(石棺は終幕、横たわったフィールス(村井国夫)の上に降りてくるまで舞台上空に吊られたまま)。
現れたのは、ビニールが掛けられた家財道具や人物(ドゥニャーシャ(天野はな)とロパーヒン(八嶋智人))。
作業着姿の男がビニールを取り除き、柵の扉を開け、そこを施錠して立ち去ったところで、『桜の園』の物語が始まる。
作品の中で死者に当たる人物(ラネーフスカヤの息子とか母親とか)の話になる時には、不穏な音が聞こえてくる。
2幕の冒頭、家庭教師のシャルロッタ(川上友里)は、ビニールプールの中、水着姿でセリフを喋る。(その後、エピホードフ(前原滉)は躓いたはずみで、そのビニールプールに突っ込み、ずぶ濡れになる)
浮浪者(永島敬三)は金網の外から、柵を飛び越えてやってきて、柵を飛び越えて去っていく。
不気味な音が聞こえる場面では、観客にはその音は聞こえない。(代わりに、それまで鳴いていた蝉の音が高まってカットアウトされる)
舞踏会の場面では、デジタルな音楽による仮装パーティーが催され、ピエロに扮したワーリャ(安藤玉恵)や、大きな蝶の羽を背負って体型ラインくっきりな姿のピーシチク(市川しんぺー)、熊の被り物を被ったエピホードフなどが登場する。
登場人物は皆、わりと現代的な衣裳に身を包み、どちらかというと現代的な言葉遣いに寄せたセリフを喋る。サイモン・スティーヴンスによる英訳を使った意図はそこだろう。
演技のトーンは、全体的にテンション高めな感じ(ハイテンションというわけではない)で、一般的な『桜の園』の上演でよく見られるような「気だるさ」とか「陰鬱さ」みたいなものは少なめ。わりと皆さん、ハキハキ喋るw
誰に向けて喋っているのか、あえてハッキリさせないよう処理されているセリフが多々見られる一方で、明らかに観客に向けて語られるセリフも多く、新劇リアリズム風な演出とは一線を画す。
また、パンフレットによると、演出テーマの1つに「亡霊」があるらしく、確かに、そのことを意識させる仕上がりにはなっていた。
演出は確かに面白い。
面白いのだが、演出意図が勝ってしまって、俳優が埋没してしまった印象も。「俳優が演出を体現する」という所までは行き切れてないようにも思えた。
ラネーフスカヤ役の原田美枝子さんは、人物造形は成功していたと思うのだが、いかんせん声量が少なく、PARCO劇場では成立していたかもしれないが、日本特殊陶業市民会館ではちょっと厳しいものがあった。同様のことは、アーニャ役の川島海荷さんにも言える。その他がわりと、普段のフィールドが舞台の俳優たちだったので、余計に声量差が悪目立ちしてしまった。
また、成河さんは、トロフィーモフ役では力量を持て余しているようにも見えたし、川上友里さん(シャルロッタ)、竪山隼太さん(ヤーシャ)、市川しんぺーさん(ピーシチク)あたりは、共にちょっとエキセントリックな感じの造形で、お互いを相殺し合ってしまったようにも感じられた。
前原滉さんのエピホードフは悪くなかったのだが、朝ドラ『らんまん』で演じている波多野役にも見えてしまったので、もう少しバリエーションが欲しかったかな。
安藤玉恵さんのワーリャと八嶋智人さんのロパーヒンは、個人的にはかなり好きだったのだけど、この2人だけでは作品全体の完成度に影響を与えるところまでは及ばず…
村井国夫さんのフィールス、松尾貴史さんのガーエフ、天野はなさんのドゥニャーシャも良かったのだけど、もう少し違う方向性もあったのではないか?とも思う。
幕開きの演出でグッと鷲掴みにされたものの、それ以降が息切れ気味になってしまったのが残念。
どうせなら、冒頭、作業着姿の男以外の登場人物全員、石棺の中に入っていても良かった気もする。(そこから振り分けられ、1度舞台袖に退出させられる、とか)
石棺とか金網の柵という仕掛けがありながら、ナチュラルに舞台袖から登退場するというのがちょっと解せず。しかも、4幕で屋敷を去る場面では、皆、金網の柵の向こうへ退場し、その扉の鍵をかけるのはロパーヒンで、石棺と柵の演出が「思いつき」程度に見えてしまったのも勿体ない。
まあ、「桜の園のしがらみから解放される=柵の外へ出られる」ということなのだとは思うけど…
ちなみに、チラシビジュアルのイメージで観劇すると、かなり違うw
PARCO PRODUCE 2023
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ
『桜の園』
作:アントン・チェーホフ
英語版:サイモン・スティーヴンス
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
原田美枝子:リュボーフィ・ラネーフスカヤ
八嶋智人:アレクサンドル・ロパーヒン
成河:ピョートル・トロフィーモフ
安藤玉恵:ワーリャ
川島海荷:アーニャ
前原滉:セミョーン・エピホードフ
川上友里:シャルロッタ・イワーノヴナ
竪山隼太:ヤーシャ
天野はな:ドゥニャーシャ
永島敬三:浮浪者ほか
中上サッキ:招待客ほか
市川しんペー:ポリス・シメオーノフ=ピーシチク
松尾貴史:レオニード・ガーエフ
村井國夫:フィールス
美術・衣装デザイン:グレイス・スマート
音楽:かみむら周平
ステージング:小野寺修二
照明:佐藤啓
音響:井上正弘
ヘアメイク:佐藤裕子
衣裳コーディネート:阿部朱美
美術コーディネート:岩本三玲
通訳:時田曜子
演出助手:陶山浩乃
舞台監督:藤崎遊、田中直明
ステージング助手:藤田桃子
衣装コーディネート助手:柿野彩
ヘアメイク助手:清水里恵
ブロンプター:小石川桃子
通訳:河井麻祐子
演出部:田中政秀、瀬戸元哲、玉置敬子
照明部:溝口由利子、伊賀康
音響部:山本祥悟、佐々木結衣、北村夏主馬
ヘアメイク部:森珠美
衣装部:沼田千穂
大道具製作:C-COM 舞台装置(伊藤清次)
機構:村上舞台
小道具:高津装飾美術(西村太志)
小道具製作:土屋工房(土屋武史)
電飾:イルミカ東京(原島いづみ)
衣装製作:植田和子、斎藤恵子、吉田祐子、広野正道、柿崎紅花
履物:アーティス(大石雅章)
運送:マイド
台本印刷:シナリオプリント
版権コーディネート:シアターライツ
ポスター貼り:ポスターハリス・カンパニー
アーティストマネージメント:MY Promotion Inc.、シス・カンパニー、ブルー・ジュピター、マッシュ、レプロエンタテインメント、トライストーン・エンタテイメント、スタッフ・プラス、エフ・エム・ジー、レディバード、ゴーチ・ブラザーズ、古舘プロジェクト、トム・プロジェクト
協力:Independent Talent Group Ltd、AHA Talent Ltd、カンパニー AZA、Aプロジェクト、ART CORE、オフィス新音、スタジオAD、カンパニーデラシネラ、文学座/世田谷パブリックシアター技術部、ハロースミス、木口充恵、原西忠佑、淺場万矢、原田理央、内田健介/ヴォートル、シグマコミュニケーションズ
宣伝美術:榎本太郎
宣伝写真:森崎恵美子
宣伝写真スタイリスト:尾嶝恵里子
宣伝写真ヘアメイク:CHIHIRO
宣伝映像:尾野慎太郎
宣伝:る・ひまわり(金井智子、秋山美優)
パンフレット編集・宣伝テキスト:金田明子
舞台写真:細野晋司
制作協力:伊藤達哉
制作:木村夏、山田紗綾
制作助手:古城茉理
プロデューサー:佐藤玄
製作:宇都宮誠樹
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(統括団体による文化芸術需要回復地域活性化事業(アートキャラバン2))、独立行政法人日本芸術文化振興会
後援:ブリティッシュ・カウンシル
制作協力:ゴーチ・ブラザーズ
企画・製作:株式会社バルコ
2023/8/7〜29 PARCO劇場
後援:TOKYO FM、TBSラジオ
東京票券:山本杏香、福村彩
20239/2 東京エレクトロンホール宮城
主催:キョードー東北
後援:公益財団法人宮城県文化振興財団、公益財団法人仙台市市民文化事業団
2023/9/6 上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)
主催:TSSテレビ新広島、ピクニック、バルコ
協力:広島バルコ
運営協力:キャンディープロモーション
2023/9/13 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
主催・キョードー東海、サンライズプロモーション東京、バルコ
協力:名古屋バルコ
2023/9/16〜17 森ノ宮ピロティホール
主催:関西テレビ放送、サンライズプロモーション大阪
2023/9/20 高知県立県民文化ホール オレンジホール
主催:テレビ高知、パルコ
運営:デューク
2023/9/23〜24 9.23 キャナルシティ劇場
主催:九州朝日放送、サンライズプロモーション東京、ピクニック
協力:福岡パルコ
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