日生劇場ファミリーフェスティヴァル2019 音楽劇『あらしのよるに』@日生劇場
【2019/8/5 15:00〜17:00(途中20分間の休憩あり)】

おなじみの原作『あらしのよるに』シリーズを、「ガブとメイの友情物語」として音楽劇に仕立てた舞台。上演時間は、途中20分の休憩込みで2時間。歌にダンスに生演奏もあるが、ミュージカルと呼ぶほどでもなく。客席は親子連れがほとんど。
シリーズ最初のエピソード「嵐の夜に小屋で出会って別れる」が意外にあっさりと終わるなど、全体的に「舞台転換を交えたアンサンブルのムーブメントやダンスによる、場面場面のイメージシーン」に演出を割いた印象が強い。
しかし、元々の原作のせいか、終盤の展開(吹雪以降)が慌ただしいというか、ちょっと粗くて不親切。さらに、若干、ご都合主義なのも少し気になり……
いやいや、記憶喪失って……
でも、近くに座っていた子どもが観終わったときに、「だいたい、本とおんなじだった」と親に言っていたので、改変はされていない模様。
「食う・食われる関係性で育まれる、恋愛感情にも似た友情」は、国家・民族・宗教など、現代社会に通じる様々な問題を孕んでいて、大人には色々と考えさせる、かなり社会派な舞台とも言える。
それに、「集団の中での孤立」、「『らしさ』の強要」、「本能と理性」なんかも、二次的にテーマになっているし、「瀕死の友達を食べるか否か」なんて、『ひかりごけ』なんかも連想したりして、「ヤギとオオカミの友情」という中に、多くのものが詰め込まれていた。(詰め込みすぎという意味ではなく)
舞台装置は、細長い書き割りを繋げてうねうね動くようにしたもの(ヘビのおもちゃみたいな仕組みのやつ)が大小2つずつ。伸ばしたり、丸めたり、自在に形を変えて空間を変化。(我々も使いたいアイデア!)
衣裳は、特にオオカミが秀逸で、尻尾のボリュームと形状が絶妙。まあ、マタギっぽくもあるのだが(笑)

演奏を担うメンバーは5人で、オケピを下手にのみ設置し、そこで演奏。演奏者の大半は「時々自動」のメンバー。管楽器や弦楽器も使うけれど、パーカッションの割合が多く、その楽器のチョイスといい、繰り出されるサウンドといい、かなりSPACっぽい。
つまりは、「棚川サウンド」に通じるものがある。アンクロンとか、ホースとか、ひとつのシロフォンを二人で演奏とか、使用楽器の展開の仕方とか。
今回の舞台の魅力は、ガブを演じた渡部豪太さんによるところが大きい。オオカミとしての肉食的な部分と、心根の優しい素朴な部分を、うまく混ぜ合わせた存在感で、二の線と三の線を自在に行ったり来たり。
座ったり、寝そべったり、といったフォルムや、自分を戒めて頭を叩く動きなんかも絵になるし、歌声もいい。
「~でやんす」という語尾も、いかにも自然で、本人の資質とガブのキャラクターがマッチしていたのだと思う。
あと、たまたまかもしれないが、足を広げて腰を低めにして立つことが多く、股の間から見える尻尾が実に良い(笑)
ただ、音響はイマイチ。会場の条件も良くないのかもしれないが、演者のマイク音声が「明らかにスピーカーから出てる」感が強く、残念。それに呼吸音まで拾っちゃ駄目でしょ。
(そういや『黒蜥蜴』のときも同じようなこと思ったなあ…)
日生劇場ファミリーフェスティヴァル2019
音楽劇『あらしのよるに』
原作:きむらゆういち「あらしのよるに」(講談社刊)
脚本・演出:立山ひろみ
ガブ:渡部豪太
メイ:福本莉子
ギロ:高田恵篤
おばさんヤギ:平田敦子
バリー:川合ロン
タプ:木原浩太
ミィ:福留麻里
ヤギたち:
飯嶋あやめ
滝本直子
平山トオル(オオカミ)
三坂知絵子
三田理子(オオカミ)
山根海音(うさぎ・オオカミ)
オオカミたち:
小山まさし
酒井直之
島田惇平
長谷川暢(さる1)
早川一矢(さる2)
山口将太朗(リス)
うたう人:
苫篠ひとみ(オオカミ)
古川和佳奈(ヤギ)
山﨑まゆ子(ヤギ)
かなでる人:
鈴木光介(トランペット)
砂川佳代子(クラリネット)
関根真理(パーカッション)
高橋牧(アコーディオン)
日高和子(サックス)
稽古場代役:宮之脇佳織
音楽:鈴木光介(時々自動)
振付:山田うん
美術:池田 ともゆき
照明:齋藤茂男
衣裳:太田雅公
ヘアメイク:橘房図
音響:島猛
学芸:大池容子(うさぎストライプ)
演出助手:鷲田実土里
舞台監督:八木清市
舞台監督助手:中山宣義、杉田健介、石橋侑紀、山中真吾
美術助手:谷口綾
照明助手:横原由祐
衣裳助手:生田志織
大道具:俳優座劇場舞台美術部
照明操作:シアタークリエイション A.S.G
音響操作:川崎理沙、中川綾乃、津名めぐみ
衣裳小道具製作:篠川理湖
帽子製作:下重恭子
衣裳製作:鈴木奏子、佃彩可、寺岡寛恵、内海志保、丸山結衣、キュウ・ユインジュ
衣裳操作:村田まゆみ、渡辺桂子
かつら:小沼佳奈(奥松かつら)
メイク:鬼頭聖子、福島真由美、atsu.co
小道具・履物:ニケステージワークス
制作助手:野田容瑛
舞台技術:日生劇場技術部
主催・企画・制作:公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]
後援:東京都、神奈川県、埼玉県教育委員会、 東京都私立幼稚園連合会、東京私立初等学校協会、東京都公立小学校長会、一般社団法人東京都小学校PTA協議会、一般財団法人東京私立中学高等学校協会、東京都公立幼稚園・こども園PTA連絡協議会、東京都国公立幼稚園・こども園長会、公益社団法人神奈川県私立幼稚園連合会、横浜市立小学校長会、川崎市立小学校長会、埼玉県公立小学校校長会、千葉市小学校長会、千葉市中学校長会、関東地区私立小学校連合会、神奈川県私立小学校協会 、相模原市立小中学校PTA連絡協議会、さいたま市PTA協議会
協賛:日本生命保険相互会社
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会
2019年8月3日〜5日 日生劇場
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