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演劇界に生きる男の観劇記録

SPAC-静岡県舞台芸術センターで俳優やってます!

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モダンスイマーズ結成20周年記念公演『ビューティフル ワールド』@東京芸術劇場シアターイースト
【2019/6/16 15:00〜17:15(途中10分間の休憩あり)】

過去に、1回は確実に観ているモダンスイマーズ(もしかしたらNHKの舞台中継的な映像で…だったかも、だが)。そこまで追い続けてはいない劇団なのだが、『キネマと恋人』との組み合わせスケジュール的にちょうど良かったのと、チケット代が3,000円とお求めやすい価格だったので観劇。(こういう「タイミング」も観劇の決め手にはなる)
当日券のお客様で正席を買えなかった人も、客席通路席を販売して入場してもらう盛況っぷり。開演が5分押すことのお詫びを、わざわざ口頭アナウンスで伝える制作からも、カンパニーの誠実さが感じ取れる。

ゲームとアニメが趣味の引きこもり40歳・夏彦が主人公。彼の実家が火事になり、弟夫婦の元へ移るがやんわりと追い出され、元は和菓子屋で今は古民家カフェを営む叔父夫婦の離れに住むことから始まる物語。とにかく、罪深い人たちばかり出てくる「悲劇性の強い喜劇」で、ある意味「随分と極端な設定のチェーホフ」な感じ。作・演出は蓬莱竜太氏。現代日本のチェーホフかもしれない。(ただ、わりとみんな怒鳴る、というか叫ぶ、が、チェーホフ、そこまで叫ばないし、その点では違うかも)
夏彦の叔父である夫と娘から邪険に扱われ、その傷を「宇多田ヒカル」を口ずさむことで慰め、振り払っていた叔母が、次第に離れに入り浸るようになり…という展開。ここまでが一幕(60分)。
二人を引き合わせたのは、たぶん、エヴァンゲリオンであり、宇多田ヒカルであり。宇多田ヒカルの愛称「ヒッキー」と、引きこもりの「ヒッキー」をかけている気も。

10分の休憩後、大どんでん返し的な二幕(65分)へ突入。一幕では正義を振りかざしているように見えた娘や、不器用で寡黙な人柄が売りのはずだった和菓子屋時代からの職人・高倉健太が、話の展開をさらにややこしくさせると同時に、観ている観客はもう笑うしかない感じ。「みんな、クズばっかりだな」と思ってしまった観客も多かろう(笑) 当然、スッキリはしない終わり方。

会話中に急に回想シーンが入ってきたり、同時多発的なモノローグが発生したりと、演劇だからできる場面の処理が面白く、テンポを崩すことなく「悲喜こもごも」を見せていくのも良かったし、引きこもり部屋が、「平たいリヤカー」というか「1畳分くらいのサイズのカート」みたいな装置で、それを引っ張ったり押したりしながら、引きこもり部屋を舞台上で自由に移動させる様子も、妙に面白かった。なんか、「引きこもりが自分の居場所を引っ張っている、引いて籠っている」という図が。
周囲から「寡黙で不器用認定」されている西條義将さん演じる「高倉健太」が、「車のBGMでglobeを聴いている」という設定も個人的にはツボった。しかもかかるのが「Is this love」というのが、実は伏線にもなっているあたり絶妙なチョイス。

ただ、ネットでの評判はかなり良いのだが、個人的には、そこまではハマらなかったかな、と。
まず、作品における色恋モチーフが扱いとしては結構多く、まあそれはあくまで設定での話であって、直接的にそういう描写がふんだんに出てくるわけではないのだけど、「でもそういう愛欲がもとで起きるドラマは、三浦大輔氏が描く方がリアリティがあるかな」とか思ったり。
あと、あまり自分事のようには観られず、どこか「架空のお話」感に包まれていたような。
でも一方で、ネットで評判が高いのも分かる。ぐさぐさ来る人は来ちゃうんだろうな…という感じ。たぶん、僕がそこまで、人間関係のぐちゃぐちゃに巻き込まれたことがないからかもしれない。まあ、巻き込まれそうになる前に、体よく逃げているような気もするし。

なお、「マツコの知らない世界」で、その泣きの演技と粘性の強い鼻水で有名になった古山さんは、夏彦の弟役で、今回は少なめの出番で泣きの演技はなく。


モダンスイマーズ結成20周年記念公演
『ビューティフル ワールド』
作・演出:蓬莱竜太

飯田夏彦:津村知与支
越乃衣子:吉岡あきこ
越乃左子:生越千晴
清水りく:成田亜佑美
沢田清史郎:小椋毅
高倉健太:西條義将
飯田善:古山憲太郎
越乃淳二:菅原大吉

美術:伊達一成
照明:沖野隆一
音響:今西工
衣裳:坂東智代
映像:横山翼、松本一晃
舞台監督:清水スミカ
演出助手:伊東若菜
照明操作:矢野一輝
音響操作:北野さおり
宣伝美術:金子裕美
プロダクションスタッフ:中尾友也、鈴木ちな、川飛舞花
制作:森田百合花
制作協力:ヨルノハテ

提携:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歷史文化財団)
助成:芸術文化振興基金助成事業

主催:モダンスイマーズ

2019年6月7日〜7月23日 東京芸術劇場シアターイースト

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