第七劇場 × Shakespeare’s Wild Sisters Group 日台国際共同プロジェクト Notes Exchange vol.3/東京芸術祭直轄プログラム『珈琲時光』@東京芸術劇場シアターウエスト
【2018/10/25 15:00〜16:40(途中休憩なし)】

昨年度『1984』で関わったプロジェクトの、3年計画事業の3年目(最終年)の作品。
異なる時代、異なる場所の物語のモチーフが、レイヤーを重ねるように綴られ、時に少しだけ交錯し、時に少しだけレイヤーを貫く主軸が立ち現れ……みたいな、少し不思議な舞台。
設定として、階ごとに国も年代も違う(上階になるほど年代が進む)、あるアパート(or マンション)があって、そこに住む住人たちのささやかな日常が描かれる。日本と台湾(それに韓国も?)の特徴的な年代や出来事が、抽出されてはいるものの、アパート全体を揺るがすような大きな事件は特に起きず、淡々と進んでいく。
歴史ドラマと見ることも可能だし、まさしく小津安二郎よろしく、平凡に暮らす庶民の人たちの生活を切り取った舞台と見ることも可能。ただ、それは逆に言うと、どう観たらいいのか、戸惑ってしまう観客も多いかもしれない、とも言える。
この、少しSF要素が入った設定も、如月小春的なコラージュっぽい作風も、僕は個人的にとても好きなので楽しんで観られたけれど、果たして万人受けするかと言えば、しないような気もする(苦笑)
何せ「ひとつの大きなストーリー」みたいなものが無いので。
それに、字幕の情報量が多いので、字幕を読みながら舞台を観るのが苦手な人にはあまりオススメできないし、異なるレイヤーがいくつも出てくるので、頭のなかで情報を処理しながら観ていかないといけなかったりもするし。そういう意味では、まさに情報処理時代を生きている現代人、スマホ世代のような人間でないと、なかなかこの作品の面白さは理解できないのかもしれない。
出演者のなかでは、原節子的な存在を担う台湾の女優さんの、繊細な変幻自在感が秀逸。「年老いた母親」みたいな役どころが何パターンか出てくるが、全部微妙に変化していて、それがまた上手い。腰の落とし方とか、声色の変え方とかが、わざとらしくない程度で変化させる、そのさじ加減に唸る。
あと、佐直さんの、母親と娘の演じ分けも、別の女優が出てきているのかと思うくらいの「似ていながらも別人」感が素晴らしかった。
俳優の演技は全体として、言動分離(ムーバーとスピーカー)的な演出になっていて、心の声やLINEやメールの文面は別の俳優が語っていて、上手い処理だなと思った。
(これは、観ていないと何を言ってるのか全然イメージできないとは思うが)車椅子の場面の、車椅子が移動していくにつれて、車椅子に当たっている切り取られたサスの照明も移動していくのが、技術的に特別なことをしているわけではないのだけど、何故か心に残った。サスの切り取りかたの四角加減も、すごく良かったんだな。
恐らく、東京公演は少し「ワーク・イン・プログレス」的な要素があったと思うので、12月の台湾公演を経て、三重・金沢公演でどう変化するのか非常に楽しみ。もっともっと面白くなりそうな要素の種は詰まってると思うので、それがどう芽を出していくのか…
三重公演も見届けに行く予定。
第七劇場 × Shakespeare’s Wild Sisters Group
日台国際共同プロジェクト Notes Exchange vol.3
東京芸術祭直轄プログラム
『珈琲時光』
企画協力:侯孝賢
脚本:王嘉明
演出:王嘉明、鳴海康平
【台北】Fa、圈圈
【三重】佐直由佳子、小菅紘史、木母千尋、菊原真結、三浦真樹
【静岡】鈴木真理子(SPAC)
【金沢】西本浩明(演芸列車「東西本線」)
舞台監督:北方こだち
照明:島田雄峰(Lighting staff Ten-Holes)
音響:平岡希樹(現場サイド)
衣裳:靳萍萍
台湾側プロデューサー:新田幸生
演出助手:盧琳
翻訳:陳汗青、林佳祥
総合ディレクター:宮城聴
直轄事業ディレクター:横山義志
チケット担当:東京芸術劇場
当日配布プログラムレイアウトデザイン:橋本デザイン室
主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
協力:SPAC-舞台県舞台芸術センター
製作:三重県文化会館[指定管理者:(公財)三重県文化振興事業団]、金沢21世紀美術館[(公財)金沢芸術創造財団]、合同会社第七劇場、Shakespeare’s Wild Sisters Group
助成:國家文化藝術基金會、台北市文化局、雲門文化藝術基金會、平成30年度文化庁国際文化芸術発信拠点形成事業(豊島区国際アート・カルチャー都市推進事業)
2018年10月24日・25日 東京芸術劇場シアターウエスト
2018年12月1日〜9日 Cloud Gate Theater【台湾】
2019年2月10日・11日 三重県文化会館小ホール
2019年2月16日・17日 金沢21世紀美術館シアター21
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